ベンチ前で見せる激情と、ピッチを離れて見せる温厚な表情。成功と失敗を重ね、その顔に少しだけ皺(しわ)を刻んだ「監督・城福浩」は甲府という地方クラブでリスタートを切った。1年以上の充電期間を経て、その情熱は冷めるどころか燃え盛っている。FC東京で味わった監督解任という挫折から、「プロビンチャ革命」を掲げるに至った指揮官の苦悩と真意に迫った。 (松岡祐司) 青と赤に染まった山梨中銀スタジアムのベンチ前に、濃紺のスーツをクールに着こなした城福監督はいた。静かに戦況を見つめていたかと思えば、大きなアクションで激しく指示を飛ばしたり、怒りの形相で主審や副審に詰め寄ったり。上昇する熱量の中で、やはりこの指揮官は戦っていた。