全国唯一の特定危険指定暴力団「工藤会」(北九州市)の壊滅を目指す「頂上作戦」で、福岡県警が取り締まりとともに力を入れてきたのが、暴力団の襲撃から市民を守る「保護対策」だ。8月に死刑判決を言い渡された工藤会トップで総裁の野村悟被告(75)が裁判長を威圧するような発言をしたことで、その存在感は高まっている。 保護対策を担うのは、県警組織犯罪対策課の「保護対策室」だ。武道などにたけた約100人で構成。県警は詳細な配置や活動内容を明らかにしていないが、情報提供者や被害者、元組員などの保護対象者に全地球測位システム(GPS)付きの通報装置を渡すなどして24時間態勢で警戒を続けている。暴力団による民間襲撃の防止を目指す全国初の保護対策室は2013年3月に発足した。 発足前は、工藤会の関与が疑われる市民襲撃事件が相次ぎ、12年8~9月には北九州市小倉北区で飲食店関係者やタクシー運転手が顔を切られるなどし