夏を迎えるというのに昨年1月からのインポが治る様子がなくて半袖の俺は少し焦り始めている。寝ても覚めてもインポ。ポーポポポポポポーポー。俺は追い詰められている。背が高い。顔がいい。そういった俺を形容する身体的特徴のひとつとしてインポを捉えるようなスタンス、或いはゆとり教育的見地から勃たないのもこれ個性とみなすような諦めの境地、すなわちインポ的悟り、もしくは解脱フロム勃起に俺はまだ達していない。だから薬、診察、断酒、イメクラ「電車でGO!」、快楽天、BOMB!、綾波レイ、○ー○○○○。思い付くかぎりのすべてを俺は試し、破れ、枕を濡らし続けている。インポテンツ。ED。これらの言葉の発音に内包されているどこか明るく、おかしげで、間の抜けたトーンがインポの問題の焦点をずらし、解決の障害になっている。インポなんですか、大変ですねとそう親しくない淑女は言う。だがその声色はどこか人を馬鹿にしている風情で、