再びシャーロック・ホームズ物語について少し書くことにする。先日、「グロリア・スコット号」という作品の中に、謎解きが英語と密接に結びついているため翻訳するのが難しい暗号が出てくることに触れたが、翻訳の難しさを示す別のホームズ物語として頭に浮かぶのが、第1短編集「シャーロック・ホームズの冒険」に収録されている「まだらの紐」 The Speckled Band である。 多少ネタばれになるが、この "the speckled band" とは、被害者がこときれる前に発した言葉(いわゆる「ダイイング・メッセージ」)で、殺人事件を解く重要な鍵となる。そしてホームズは最初、事件について間違った見立てをする。それは、この band を「集団」「人々の集まり」という意味に取ったからだ。 しかし、現場に実際に赴いたホームズは、自分の当初の推理が誤っていたことに気づく。そして物語はクライマックスを迎え、"th
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