【今週はこれを読め! ミステリー編】理知的で公正な修道女フィデルマに魅了される『修道女フィデルマの采配』 文=杉江松恋 『修道女フィデルマの采配: 修道女フィデルマ短編集 (創元推理文庫 M ト 6-19)』 ピーター・トレメイン,田村 美佐子 東京創元社 1,034円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto 探偵キャラクターの登場するシリーズでは世界最高峰の人気を誇る。 それが最新刊『修道女フィデルマの采配』が刊行されたピーター・トレメインの修道女フィデルマシリーズだ。 本シリーズの魅力の大部分は探偵であるフィデルマの人物造形にある。訳註に沿って書けば「七世紀アイルランド最大の王国(現在のマンスター地方)の数代前の王ファルバ・フランの娘であり、現モアン王コルグーの妹」、つまり高貴な血筋に連なる者であると同時に「修道院で学んだキリスト教文化
『ロボットには尻尾がない 〈ギャロウェイ・ギャラガー〉シリーズ短篇集 (竹書房文庫 か 18-1)』 ヘンリー・カットナー,山田 順子 竹書房 1,265円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto 主人公は「あてにならない天才」ギャロウェイ・ギャラガー。専門的な科学知識をもっていないのに、酒に酔うと、適当な素材を組みあわせて途轍もない発明をなしとげてしまう。問題は素面に戻ったときに記憶をすっかりなくしていることだ。作動原理もわからない。何のためのマシンなのかもわからない。どういう経緯でそれに取り組んだかもわからない。 ただ、発明の結果だけがそこにある。 そんなシチュエーションのユーモアSF連作、五篇をまとめたのが本書だ。作者ヘンリイ・カットナーは、ラヴクラフトばりの怪奇小説、肩の凝らないスペースオペラから、トリッキイなアイデアSFまで器用に
『2010年代海外SF傑作選 (ハヤカワ文庫SF)』 ピーター トライアス,郝 景芳,アナリー ニューイッツ,ピーター ワッツ,サム・J ミラー,チャールズ ユウ,ケン リュウ,陳 楸帆,チャイナ ミエヴィル,カリン ティドベック,テッド チャン,橋本 輝幸 早川書房 1,276円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto もっとも新しい十年紀のSF傑作選。思わず身がまえてしまうが、心配はご無用。収録されている作家の人種・経歴・セクシャリティは多様で、作品の傾向もバラエティに富んでいるものの、飛びぬけて先鋭的な表現・主題・論理はほとんどない。ある程度SFに馴染んでいる読者にとっては、むしろ懐かしい印象すら受けるくらいだ。 2010年代SFのトップランナーをひとりあげるならまちがいなくテッド・チャンだが、このアンソロジーは「ソフトウェア・オブジ
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