約25年ぶりに山に登ってきた。 あえて山と力説するほどの高みでもないのだが、久々に登る者にとっては、どんな山でも山は山だ。 現場は、丹沢にある三つ峠というところで、標高は1760メートル。富士山の眺望が素晴らしいことで名高い峰なのだそうだ。 登った理由はありていに言えば知り合いに誘われたからなのだが、それだけでもない。 ひとつには、選挙前後のギスギスした空気が苦手だということがある。 こういう時は、下界から逃げ出したくなる。 もうひとつの理由は、年末を控えて、仕事のスケジュールがドミノ倒しの状況を呈しているからだ。 そういうタイミングで誘われると、行き先がどこであっても私は断ることができない。そういう性質なのだ。 忙しいと、余計なことをしたくなる。試験期間がはじまる度になぜなのか『カラマーゾフの兄弟』を再読していたのと同じ力加減だ。 この性質は死ぬまでなおらない。 山行は、ただただ、キツか