ブックマーク / itutomoe.hatenablog.com (2)

  • 空と海とのあいだに。 - イツトモエ廃温室

    私は海をほとんど見ずにここまで生きてまいりました。 いわゆる海なし県の出身です。海のある都道府県に住む人でも湾岸や島にでも住まない限り、まあそれほど頻繁に海を見る機会などはあまりないでしょうが、当時の私は成人するまでに5の指を折れるか折れないかほどしか海を見たことがなかったのです。 私の育った地域はすぐ数百メートル先には名もなき丘のような山があり、それでいて生活が不便な田舎ではありませんでした。陽を遮られるから日が暮れるのは恐ろしく早く、春はといえば山はポップカラーな新種のカビが生えたようにもこもこし出す。 夏は黒に近い緑色が一面を覆い、日陰を探してジグザグ道を歩く日々。晩秋ともなれば一気に周囲の彩度が落ちる一方で、花粉の時期には空が黄色くなりました。 きっと住んだことのない人からすれば想像もつかない風景でしょうが20年近く、これが日常として感じていた人間がいることもまた事実です。 だか

    空と海とのあいだに。 - イツトモエ廃温室
  • 鉄路と道路の渚にて。 - イツトモエ廃温室

    初夏の六月。週末は天気が良いという予報が出ていたので趣向を変えて電車に乗って旅をしてみることにしました。 いつもは二輪車に乗って目的地を決め、それらを周りきったら帰るという、ある意味窮屈な旅をしています。でも今回はどこに行くのか知らないあいまいなローカル路線の電車に乗り、目的地も決めず、どこへ訪れるかも決まっていないふらり旅でございます。 そう思い立ったのもこの地に引っ越してきてから退屈な毎日が続き、このまま日常が続いていくのかと典型的な思いがよぎったから。地理も路線図も良くわかっていない初めての場所ならではの旅が今ならできるのではと思ったのです。 車窓の景色が住宅街を抜け、田んぼの青々とした緑が広がります。この路線について知っていることはなんとなく太平洋の方へ抜けるであろうということだけ。そこに至るまでどんな駅に止まるのか、どんな街を通るのか。ほとんど知らないまま始発駅から乗り込みました

    鉄路と道路の渚にて。 - イツトモエ廃温室
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