©︎疾走プロダクション 総上映時間6時間12分、休憩2回の3部構成、一回の料金は3900円。規格外のスケールのドキュメンタリー映画が、日本各地の映画館を巡回している。 タイトルは『水俣曼荼羅』。監督は原一男。『ゆきゆきて、神軍』『さようならCP』などで知られるドキュメンタリー界の鬼才だ。 権力や差別など、社会を取り巻く不平等や理不尽と戦う人々を描いてきた原が、今回題材としたのは「水俣病」。裁判闘争を軸とした大規模な社会運動が展開されたことでも知られる、戦後日本を代表する公害病だ。すでにさまざまな立場の人が伝え、語り継いでいる題材でもある。 原は、患者、支援者、医師、魚の研究者、政治家、官僚、役人、文学者など、さまざまな立場の人々に話を聞き、水俣病を取り巻く問題を浮かび上がらせた。 そこに映し出されているのは、「水俣病」という一地域の物語に限らない日本社会の問題であり、戦う人々の葛藤である。