左手にはグリコの看板があり、横にはツレがいました。 道頓堀川が揺れています。 この橋って昔は「ひっかけ橋」なんて言われれていました。ですが残念ながら、私はここでひっかけようとして、成功したためしはありません。 阪神タイガースが優勝すると、ここから道頓堀川に飛び込むやつが、数人でます。 「あいつら、あほやな。便器に飛び込むのと、同じやぞ」 ツレがそんなことを言いながら、笑いました。 高校生のころ、この近くのビアガーデンでアルバイトをしていました。私が育った家からここらまで来るのに、自転車で20分くらいで来られたので、いわば地元のような町でした。 大阪の下町で生まれたことが、ずっとイヤでした。 騒々しくて柄が悪くて、品性の欠片もなくて、繊細な神経なんてどこをどう探してみても見つからない。だから泣きたくなるくらい、私は私の町が嫌いでした。 目につくものすべてが、どうしようなくイヤでした。 アルバ