戦後日本人は敗戦の困窮の中で生きのびることのみに心が奪われ、物質至上主義的価値観に振り回されてきた。物が豊かであることが最大の幸福であるとの錯誤に陥り、日本人が古来より大切にしてきた“雅(みやび)”の心をなくしてしまった。 物や金がすべての価値となり、“仕事”は報酬を得るための手段となった。労働組合的発想である。 日本人は「仕事」そのものに価値を見い出し、報酬は二の次であった。製品がいくらで売れるかということより、“出来栄え”や“仕事振り”を誇ってきた。一生を貫く仕事を持つことが価値高きこととされ社会もそれを称えた。 大金を手に入れると余生をハワイで遊んで暮らすことが夢だと考える西洋人の人生観とは相容れない。 日本では仕事をすることそのことが“善”であり、怠けたり定職につかないことは恥だとしてきた。金はあっても仕事をせず遊ぶことは“悪”であった。得をする(賃金をもらう)から働くというのは本