『生産性新聞』2月5日号に「移る権利、移らない権利」を寄稿しました。 厚生労働省の「組織の変動に伴う労働関係に関する研究会」が去る11月20日に報告書を取りまとめ、労政審の審議が始まりました。焦点は会社分割時の労働契約承継法の改正問題です。 同法は2000年の商法改正に伴って作られた法律です。その基本的な発想は、EUの企業譲渡指令と同様、労働者は職務と一緒に動くのが一番いい、というところにあります。ヨーロッパでは、労働契約は職務を限定して結ぶのが普通ですから、ある会社で自分がやっている仕事が分割されてほかの会社に行ってしまうのに、自分がそれから切り離されて元の会社に残されてしまうのが最大の悲劇になります。そこで、職務と一緒に労働者も移転するというのが大原則です。移転が嫌だといって元の会社に残っても、雇用は保障されません。ジョブ型社会とはそういうものです。 日本では、労働契約で職務が限定され