酔っぱらいの帰巣本能にはいつも驚かされる。 気がつくと私は、自宅最寄り駅のホームに立っていた。吹きぬける風の冷たさで、我に返ったようだ。 自動販売機で温かいお茶を買い、 (もう2度と、やけ酒は飲まないぞ)と、心に誓いながら家路をたどる。 夜更けの公園を、ややおぼつかない足取りで歩いていく途中、異様な光景に出くわした。 公園灯の真下で、若い男がひざまずき、4色に塗り分けられた犬型ロボットの頭と胴体を入れ替えているのだ。 (これが幻覚というものだろうか? 今まで、深酒して意識が飛ぶことはあったけれど、幻覚は初めてだ……) 立ち止まって目をこらすと、若者が着ている白い作業着の背中にプリントされた、アルファベット4文字のロゴが見てとれた。 公園の向かいに建っている、AIロボット研究所のロゴだ。どこだったか理工学部で有名な大学院に付属している施設で、若き天才たちが日夜、最先端の研究にいそしんでいると