強い視線に怯みそうになった。こういうときのミズキさんには軽口の気配や甘ったるいからかいや一切のごまかしがなくて、困ってしまう。 「でも、そんな……自分の傷とかコンプレックスとか、そういうもののために絵をかくって、しかもそれを見せるなんて、なんかそれ、矮小っていうか、見るひとに申し訳ないっていうか……そうじゃなくって、もっと、なんていうか大きなものとか美しいものを見せたいっていうか……」 矮小で卑小な人間じゃないかと突っ込まれたらどうしようと震えると、彼はまた顔をこちらにむけて、次の瞬間には派手に吹き出した。 「ミズキさん、なにもそこまで笑わなくてもいいでしょうっ」 「いや、ほんと壮大な野望もってて凄いなあって感心してるんだよ。近頃そんなこという画家さん、見ないよね」 ほんと、将来が楽しみだよ、と揶揄めいた声がかかり、私は頬を膨らましそうになりながら相手を睨みつける。 「姫香ちゃんはかわいい