依頼人は、たらふく食べる夢が見たいとおっしゃった。自分だけでなく、彼の一族郎党に大昔の貴族のように豪勢な食事を振る舞いたいと口にして、小さな杯を干した。さびしくておられるような気がして、すすめられるままに饗された皿を綺麗に平らげた。 昼前に、お礼の電話をいただいた。こちらに来るときには早めに連絡するので空けておくよう頼まれた。いい夢だったと吐息まじりに告げられた声に、昨夜から続く胃の痛みと腸の不調は払拭されたようだ。 それから少しして、委員長が来た。サンドイッチと例のチョコレートクッキー、紅茶のペットボトルを木綿の手提げ袋に入れながら、また来るねと微笑んだ。コピー機の不調と格闘していた店長は腰をあげ、出て行った彼女の行方を目で追ったあと、代われ、と顎をしゃくって付け加えた。直したら、特別に十五分休憩やるから。 「いいんですか?」 「俺がいいっつってんだろ。昼には学生たちが来てここでコピーす