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2024年7月15日のブックマーク (1件)

  • 七章 階段 - 坂東夫人(磯崎愛) - カクヨム

    支払いは山がした。田中は陽気に礼を述べて帰ったが、陽子がお札を数枚渡そうとすると山は首をふった。 山の住まいは南千住にあり途中まで電車もいっしょだった。ふたりが常磐線沿いの同じ高校を出て、駅前近くの同じ画塾に通ったことがあると知ると、陽子はその偶然をよろこんだ。山は、先輩と呼ばないといけませんねとおどけて笑った。 帰宅してスマートフォンをひらくと山から連絡が入っていた。公募の件と他愛無い言葉だが、いっしょに頑張って賞をとりましょうとあるのを見ると胸がはずんだ。夫は実家にでもいたのか御前様で帰ってきた。 それからも頻繁に連絡がきた。ほとんどは団体の件、そのあらましや現行状況、賞の募集要項を見ながらの注意点、扱いやすいキャンバスの号数や近年の受賞者の主題の選び方などであったが、たまに花や風景の写真が添付されてきたりもした。構図はさすがにピタリと決まっていて陽子は感心したものだが、それ

    七章 階段 - 坂東夫人(磯崎愛) - カクヨム
    florentine
    florentine 2024/07/15
    “ 「さっき、《地獄の門》の前にいたでしょう」  階段で後ろから囁かれ、山本の言葉に振り返る。ロダンの彫刻の名前だと気づくのに数秒かかった。山本が目尻をさげて見つめてくる。”