論文 『女性学』日本女性学会 第10号 2003年1月 47-59頁 男性のセクシュアリティとポルノグラフィー ―支配・自傷・フェティシズム 森岡正博 この論文は、完全に書き直して、2005年2月刊行の拙著『感じない男』(ちくま新書)第2章「「男の不感症」に目を背ける男たち」に収録しました。下記は、書き直し以前の不完全版ですので、ぜひ『感じない男』のほうを読んでみてください。 1 二〇〇二年に開催された、日本女性学会大会のシンポジウムで、「男のセクシュアリティーの一断面」という発表をした。当日の発表は私の希望で録音を控えてもらった。自分自身のことを、かなり語ったからだ。そのかわり、その内容の核心部分を、ここで文章にしておきたい。 まず、私はポルノについて、私自身の体験に基づいて語っていこうと思う。なぜなら、男たちのセクシュアリティや性体験は千差万別であり、けっして単一の「男」という枠組みで