諸仏を供養する法要で、寺院の屋根から撒かれる散華。 ほとんどのものは蓮の花びらをかたどっていますが、 「まわり花」は空中を舞っているときにだけ 花の姿が現れます。 その美しい舞いざまは、伝統的な散華が 新たな領域に向かって羽ばたいているかのようです。 初出:PAPER'S No.60 2019 秋号 ※内容は初出時のまま掲載しています 初めて散華を見たときの光景が「まわり花」の発想の源です。無数の紙が一瞬の間だけ空中を舞い、地面に降り立った瞬間に消えてしまう。そんな儚さに魅了され、その舞いざまを美しく研ぎ澄ましてみたいと思いました。平面の紙である散華を立体的にしてみたのは、ありがたさやめでたさを、生き生きとした「体験」として感じてもらうため。物というより空間をつくる感覚です。空中を回転することで円錐状の残像が発生し、花の姿が現れるのが「まわり花」の仕組みですが、タンポポのように風にのって移
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