道路を減らし信号機を除去すると都市交通がスムーズになる!? 矛盾に思えるこの戦略が有効なわけは… 従来の交通工学では,道路を増やせば,車両数が増えない限り,混雑は緩和すると考えられてきた。だから,韓国ソウルが数年前に6車線の幹線道路を取り壊して全長8kmの公園に造り替えたところ交通の流れが悪化するどころか改善されたと知って,多くの専門家は驚いた。マサチューセッツ大学アマースト校でコンピューターネットワークと交通網を研究しているナガーニー(Anna Nagurney)は「誰もがひどく興奮した」と当時を振り返る。「ブライスのパラドックスの裏返しみたいなものだった」。 「ブライスのパラドックス」は独ルール大学の数学者ブライス(Dietrich Braess)が提唱した考えで,ネットワーク中ですべての移動体が最も効率的なルートを合理的に探し求めている場合,ネットワークの容量を増やすと実際に