若者の活字離れが叫ばれて、久しく、大学生が本を読まなくなったと聞いても、別段驚くことではないと思ってしまいます。 今回の記事では、「本を読まない」という状態を考えてみたいと思います。 【目次】 本を読むことを禁止された世界では、テレビ画面が大きくなる。 本はいかにして、禁止されるのか。 それは、「読んだつもり」から始まる。 思索する読書へ。 未読と不読のコントラスト、そして既読の曖昧さ 本を読まないという《理想的な》状態は、いかなるものか? それでは、まず本が禁止された世界を描いた『華氏451度』の世界を覗いみましょう! 本を読むことを禁止された世界では、テレビ画面が大きくなる。 まず、「本を読まない」どころか、「本を読むことを禁じられた」世界について考えてみたいと思います。 かの有名なレイ・ブラッドペリの『華氏451度』は、本が禁制品とされた近未来を描いた作品です。1953年に発表された