ブックマーク / www.tachibana-akira.com (6)

  • 「同一労働同一賃金」が都合が悪いほんとうの理由 週刊プレイボーイ連載(201) – 橘玲 公式BLOG

    「相手の身になって考えてみよう」というのは、小学生でも知っている道徳の基です。これをちょっと難しくいうと、「自分の主張が正しいのは、自分が相手の立場になっても、その主張が正しいと納得できる場合だけだ」ということになります。 人種差別をするひとは、自分が外国に行ったときに、「お前は黄色人種だからあっちの汚いトイレを使え」といわれて、「わかりました! ひとを人種で差別するなんて、なんて素晴らしい社会なんでしょう」と素直に納得できなければなりません。こんな奇特なひとはめったにいないでしょうから、人種差別が正義に反することが普遍的なルールとして要請されるのです。 「同一労働・同一賃金」は日では労働制度の問題とされ、派遣法改正といっしょくたに議論されていますが、その質は「正義」にあります。 正社員と同じ仕事をしている派遣社員の給料が半分、というのはよく聞く話です。これを当然と思っているひとは、

    「同一労働同一賃金」が都合が悪いほんとうの理由 週刊プレイボーイ連載(201) – 橘玲 公式BLOG
  • 「派遣」をめぐる議論はなぜいつも下らないのか 週刊プレイボーイ連載(172) | 橘玲 公式サイト

    労働者派遣法の改正案が国会で審議入りしたことで、派遣労働のあり方をめぐる議論が再燃しています。法案を提出した安倍政権は「身分の不安定な派遣社員の待遇改善や正社員化につながる」と力説しますが、野党は逆に「派遣を増やすだけだ」と反発しています。 とはいえ、この法案が世論を二分する論争になっているわけではありません。当の派遣社員も、「どうでもいい」「関心がない」と突き放しています。 この徒労感はどこから来るのでしょうか。それは政治家やメディアが、問題の質から目を背けているからです。 「派遣」という働き方が悪いわけではありません。それが政治問題になるのは、日の社会では派遣が「非正規」とされ、同じ仕事をしていても「正規」の社員と待遇が異なるからです。 ILO(国際労働機関)は同一労働同一賃金を基的人権としており、「正規」「非正規」の区別は現代の身分制と見なされます。「日は前近代的な差別社会だ

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  • 労働組合は身分差別社会が大好き 週刊プレイボーイ連載(137) – 橘玲 公式BLOG

    安倍政権による労働者派遣法改正案が国会で議論されています。 これを改悪と主張するひとたちは、「正社員が派遣労働者に置き換えられて格差が拡大する」といいます。それに対して政府側は、これまで専門26業種だけに認められていた条件をすべての労働者に開放することで、労働者のニーズにあった多様な働き方が可能になると反論しています。 労働市場改革が揉めるのは、それが日社会の根幹である「会社=イエ制度」を揺るがすからです。 経済学的にいえば、働くというのは自らの人的資を労働市場に投資し、そこから報酬というリターンを得ることです。人的資学歴や資格、専門知識や経験を総合したもので、それを基準に昇進・昇給が決まります。キャリアアップとはたんなる出世ではなく、さまざまな手段で人的資を増やしていくことなのです。 しかし日では、こうした近代的な職業観はまったく受け入れられませんでした。いまでも学生たちは、

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  • 今年のことはわからなくても、10年後の日本はわかっている  週刊プレイボーイ連載(130) – 橘玲 公式BLOG

    東日大震災と福島原発事故のあった2011年や、民主党政権に国民が愛想をつかした2012年に比べれば、昨年はひさびさに平穏な年でした。今年はどんな1年になるのでしょうか? じつはこの問いには意味がありません。どんな予測も、当たるか外れるかはサイコロを投げて決めるのと同じ、ということがわかっているからです。それでも予測を聞きたがるのは、ヒトの脳が未来をシミュレーションするようにできているからです。 脳の情報処理の特徴は、極端な出来事に引きつけられ、変化しないものには興味を持たないことです。 民主党は政権交代で「予算を組み替えれば財源はなんぼでも出てくる」といい、事業仕分けで国民を熱狂させましたが、実際にやってみたら「埋蔵金」などどこにもありませんでした。アベノミクスを囃すひとたちは「金融緩和で高度経済成長期並みの好景気がやってくる」と喧伝しましたが、いまのところそんな兆候はどこにもなく、おそ

  • “芸術”という腐った楽園 週刊プレイボーイ連載(126) – 橘玲 公式BLOG

    スクープは大きくふたつに分けられます。ひとつは、これまで一般に知られていなかった秘密を暴くもの。もうひとつは、誰もが当たり前だと思っていたことに対して、「それはルール違反だ」と指摘するものです。公募美術展「日展」の書道部門で、入選数を有力会派に事前分配していたという朝日新聞のスクープは後者の典型でしょう。 日の美術界は芸術院会員を頂点とするピラミッド組織で、弟子は階級が上がるほど上納金が増え、「日展に入選するには審査員に心づけを渡し、作品を購入しなければならない」というのが常識でした。これは茶道などの家元制度を持ち込んだものでしょうが、「公募」をうたっていながら、有力会派に属していなければ入選できないというのでは、不正審査といわれても仕方ありません。報道を受けて日展は、日画や洋画を含む全部門で最高賞の選考を中止することを決めました。 こうした問題が起きるのは、日展だけでなく日の美術界

  • 既得権を守るために「日本人はバカだ」という 週刊プレイボーイ連載(125) – 橘玲 公式BLOG

    楽天の三木谷浩史社長が、医薬品のネット販売規制に抗議して、政府の産業競争力会議の民間議員を辞任すると表明しました(慰留され11月18日に撤回)。この会議はアベノミスクの三目の矢である成長戦略の要とされていましたが、その象徴的存在だった三木谷氏に三行半を突きつけられたことで、安倍政権の規制緩和への気度が問われています。 楽天の子会社などが原告となった行政訴訟では、医薬品のネット販売を禁止した厚労省令を、最高裁が「薬事法の趣旨に適合せず違法で無効」と判断しました。これでようやく自由化が進むかと思えば、厚労省は薬事法を改正して一部の市販薬のネット販売を禁止するほか、処方薬については対面での販売を法律で義務づけるといいだしました。これでは三木谷氏が激怒するのも当たり前です。 厚労省は、ネット販売を禁止する五つの市販薬は「劇薬」で、医師が処方箋を出して薬剤師が提供する処方薬については「ネットでは

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