今年も恒例企画「年末ジャンボお勧めブックガイド」の季節となりました! ブックリストの続きをご覧下さい。 【前編はこちら】→『パンデミックの時代に「詩」が力を発揮!2021年必読の24冊』 歴史の再創造 今年は、ある国や地域の歴史や文化史を軸に物語を展開し、その裏側や知られざる面を描くことで、”正史”を書き換えるような傑作が多かったと思います。 13 佐藤究『テスカトリポカ』KADOKAWA 今年の山本周五郎賞と、直木賞のダブル受賞作です。 古代王国アステカの神話を下絵に、無戸籍児童を狙う「心臓移植ビジネス」を物語の中核に据えた恐るべきノワール小説。その背景にあるのは、海をまたいで広がる「麻薬資本主義(ドラッグ・キャピタリズム)」である。 物語は一九九〇年代のメキシコ北東部の街から、ジャカルタ、川崎へと舞台を移し、麻薬密売の大物、野望を抱く闇医者、天涯孤独の身となった怪力の少年などを登場させ