「パスタ何グラム食べる?」「三百グラムでお願いします」「そんなに食べられないでしょう?私は六十グラムよ」「食べられます!三百グラムでお願いします」「本当に茹でちゃうわよ!もう」仕方がない。慣れない展示会に疲れて、それくらいお腹が空いていたのだ。そんな私に呆れながら彼女はキッチンに向かった。ちょうど彼女の七十才の誕生日だった。私はハイライトに火をつける。彼女も同じくハイライトに火をつける。煙草の銘柄が同じだけで親近感が湧くのはなぜだろう。彼女の五倍のパスタを頬張りながら、ふたりで色々な話をした。三十も年が離れているのに彼女の話は面白い。それに私のくだらない話に笑ってくれる彼女はとても可愛らしい。ハイライトの煙の中で彼女と飲む赤ワインとカリフラワーのパスタは最高に美味しかった。 「煙草一本もらえますか?」「仕方がないわね」彼女との出会いもハイライトから始まった。私が煙草の根っこまで吸うのに対し