流行とは何なのか? その「流行」の現場にたち現れるデザインとは、どこに起源を求めうるものなのか? その「束の間(エフェメラ)の美」の衰退によって次に生まれるものは何なのだろうか? ここ数年の動向で最も印象深かったのは、グラフィック、イラストレーション、タイポグラフィの各分野での様式の急激な変容だった。それは一言でいえば「多層」的な構造から「平面」化へ、実験的手法からコンサーバティヴな整合性への転換であった。 まず、第1回目としてタイポグラフィの流行の変容について見てみることにしよう。それは一部のデザイナーやデザイン分野に限られた思潮ではない。「裏原宿」やサブカル系のお洒落な雑誌からインテリアやファッションなどの一般誌などまで陰に陽に影響を与えているとすれば、これはもうデザイン界の潮流で済む話ではないはずだ。 欧文タイポグラフィについて簡単に説明しておくと、まず現在最も流通し、さま