『死にたくないんですけど──iPS細胞は死を克服できるのか』(ソフトバンク新書)は、幹細胞生物学の研究者である八代嘉美氏と、作家の海猫沢めろん氏による対談集だ。書名の通り「死にたくないんですけど」というめろん氏の訴えから始まる対話は、iPS細胞から再生医療の先端技術、生物学にまつわる倫理の問題、さらには死生観まで、私たちの生命に対する価値観を揺さぶりながら広がっていく。一見ユルいようで、実はラディカルな議論を交わしていたおふたりに話を聞いた。 ──本書は、「死にたくない!」と願う海猫沢めろんさんが、iPS細胞や再生医療に詳しい八代嘉美さんに、ずばり「不老不死は実現可能か」という質問をぶつけた本ですが、そもそものきっかけは? 海猫沢めろん氏(以下、めろん氏)■もともと僕は、ジャンルとしての「生物モノ」にまったく興味を持てなかったのです。あらゆるジャンルの中で最も興味がなかったと言ってもいいく