その日、情報幾何学の創始者であり、計算論的神経科学研究の第一人者である甘利俊一先生を訪ねて、国立研究開発法人 理化学研究所 脳科学総合研究センターに足を運んだ。 講談社の「週刊 鉄腕アトムを作ろう!」の冊子でインタビューを行うことになったからだ。甘利先生が現在の人工知能ブームをどう捉え、鉄腕アトムのようなロボットにAIが搭載されていることについて、どう考えるのか、その答えが聞きたかった(インタビュー記事は8月29日発売の「週刊 鉄腕アトムを作ろう!」19号に掲載)。 人工知能の研究には大きく分けて2つの源流がある。 最初に「人工知能」という言葉が使われたのは1956年のダートマス会議だが「コンピュータにはこれほどの計算能力があるのだから、すぐに論理をこなす機械にもなる。人間の知能も言語と論理で構成されているのだから、きっといずれ人間の知能をコンピュータで実現できるにちがいない」という主張か