感想編 「死に至る病」にかかった男、あるいは「死にとりつかれた男」、惣三郎。しょせん同性愛映画だろうと、全く期待ないで見た『御法度』であったが、想像もしないような凄い映画に仕上がっていた。 金銭的に不自由のない商人の家に生まれながら、惣三郎が新撰組に入局したのは、生きている感じがしない、何のために生きているかわからないといった不全からではなかったか。入局前に、惣三郎が人を斬った経験があったのか、「生と死」のはざ間で生きる世界に、惣三郎は魅了される。 初めての斬首を平然と成し遂げる惣三郎。動揺も喜びも全く表情に出さないが、この瞬間、惣三郎は生きている実感を味わっただろう。それは彼にとって、快楽だったかもしれない。 田代によって衆道の喜びを教えられた惣三郎にとって、男同士のちぎりはとりあえずの喜びであったかもしれないが、それは真の喜びではなかった。そして、真の快楽をも味わっていなかったのではな