リチウムイオン電池からコバルトを追放する。その夢に、東北大学が物理学の深淵から答えを引き上げた。 500回充放電しても、劣化しない東北大学 材料科学高等研究所(WPI-AIMR)の研究チームが、安価なマンガンを主体とした正極材料で驚異的な成果を達成した。500回の充放電サイクル後も容量低下ゼロ ──これがその数字だ。2026年2月11日、米国化学会誌『Journal of the American Chemical Society(JACS)』に掲載された論文がその全貌を明らかにしている。 「ゼロ」という数字の重みを理解するには、少し前提が要る。マンガンを使った正極は数十年前から研究されてきたが、充放電を繰り返すと急速に容量が落ちる。数十サイクルで使い物にならなくなるものも珍しくなかった。それが500回でゼロ。桁が違う、というより次元が違う。 この成果を支えたのが「界面軌道工学」(inte

