日本では、2011年3月の東京電力福島第一原子力発電所の事故以来、原子力発電所のほとんどが稼働停止されている。2016年11月半ば現時点で運転中のものは、九州電力川内2号基、四国電力伊方3号基の2基である。2010年には、日本の総発電量の約3割を原発が占めていたが、現在は1−2%になる。 そのため、この数年間、経済産業省は、電力需給検証小委員会等で、「原発停止で輸入燃料依存が増え『3兆円から7兆円の国富が流出』している」と主張してきた。 それに応える形で、自然エネルギー財団では、2013年9月「エネルギー基本計画 3つの論点」、2014年3月「『原発停止による3.6兆円の国富流出』試算の検証」、2015年10月連載コラム「『原発停止による3.6兆円の国富流出』試算の検証2015年版」で、この数値に対する反証を行ってきた。今回は、化石燃料の輸入価格が大きく下がった2016年版の検証を行った。