友だちのお父さんはイスラム国の戦闘員 イスラム国に入る人はモンスターじゃない。だからこそ自分に近くて恐ろしい。 12歳の少年が大きな目でこちらをきっと見据えて答えた。彼の口から出た、「同級生のお父さん」というありふれた言葉の後に、「イスラム国の戦闘員」なんていう恐ろしい言葉が続くとは予想もしなかった。そのあまりにもミスマッチな組み合わせに再度聞き返してしまう。 私は、イスラム国に加わる人たちは、〈モンスター〉のようなもので、別世界から来るもの、とどこかで想像していたのかもしれない。イスラム国の戦闘員について、報道でなんとなく知っているつもりだった。過激思想に感化された人たち、同組織に外国から参加する不満を抱えた若者たち、貧困層の人たち、と。でも少年の話を聞くとイスラム国という組織が、顔の見えるすごく近い存在として迫ってくるのだ。 イスラム国のもとでの生活に疲れきっていたのか、少年には、その