太田省一(社会学者。著書に『紅白歌合戦と日本人』〔筑摩書房〕、『社会は笑う・増補版』〔青弓社〕など) 「中居くん」と呼びたい 番外篇を入れると、この連載も今回で区切りのいい10回目。ということで、ひとまず最終回を迎える。中居正広という存在の魅力にどれだけ迫れたかとなると全く心もとないが、今回は、その多彩な顔に改めてスポットライトを当てながら、ここまでの話を振り返ってみたい。 これまで書きながら気づいたことがある。芸能人はたくさんの名前を持っているということだ。愛称や呼び名があり、ドラマや映画、そしてコントで演じる役名がある。いや、芸能人だからというよりも、それは中居正広だからこそかもしれない。これほど多くの名前を持っている芸能人も珍しいだろう。それはそのまま、中居正広という存在の多面的な魅力を表しているように思える。 中居正広の愛称としてまず浮かぶのは、やはり「中居くん」ではないだろう