昨今、雇用をめぐる労使紛争や、労働基準監督署による残業代不払いの是正勧告件数が急速に増えています。企業としては適切に社員を待遇しているつもりでも、そうした紛争や勧告は、ある日突然経営者の元にやって来る場合が多いのです。社員と円滑な労使関係を維持していくにはどうしたらよいのか、ケーススタディを織り交ぜながらお話ししていきましょう。 ある日突然、労働基準監督署がやって来た! 不動産販売業のA社は、昨今の景気情勢悪化の波を受け、利益が大幅に減少し続けています。社長のBさんは、業績回復のため、営業社員に対し高いノルマを課し、また、以前のような営業先からの直帰を許さず、毎日のように深夜まで営業会議を実施しました。 このような職場風紀に耐えられず社員のCさんが退職していきました。社長のBさんとしては、営業成績が高くはなく、会社への貢献度が低いCさんの退職であったため、かえって安堵を感じていました