芸術作品を鑑賞するとき、必要なのは「感性」だと思いますか、それとも「知識」だと思いますか? 結論からいうと、「『感性』だけでも楽しめるけど『知識』があるとなおよし、ただし『知識』だけで観るのはつまらない」といったあたりが、おそらく正解に極めて近い解答です。 『あなたの美術の知識がどれくらいあるかを試す例題10問 - (チェコ好き)の日記』でも書きましたが、私たちのような一般人が、普通に文字の読み書きができる社会になったのは歴史的にみればつい最近のこと。それまでは長らく、文字の読み書きなんて一部の貴族や高僧以外できない、必要ない、という社会がずっと続いていたのです。 そんな時代に絵画が果たしていた役割の1つが、「メディア」でした。絵のなかに様々なモチーフを盛り込んで、文字の読み書きができない大衆に対して「こういうことをしていると地獄に落ちますよ」「こういうふうにすれば天国に行けますよ」みたい