神戸大学大学院理学研究科の末次健司教授 (兼 神戸大学高等学術研究院卓越教授) および福島大学共生システム理工学類の兼子伸吾准教授らの研究グループは、ナナフシモドキ (以下ナナフシ) の全国的な遺伝構造を調査し、その遺伝子型の分布パターンに、鳥による長距離分散の痕跡が残っていることを強く示唆する研究結果を得ました。 以前、末次教授らは、ナナフシの卵が鳥に食べられた際、一部の卵は無傷で排泄され、その後孵化することを実験的に明らかにしていました。しかしこのような現象は低頻度でしか起こらないため、自然条件下で実際に分布拡大に寄与しているのかについては未解明なままでした。このため、末次教授らは、今回新たにナナフシを日本全国から採集し、その遺伝構造を詳細に調査することで、自然界で実際に長距離分散が起きているかを検討しました。 その結果、最大で683km離れた場所で同一のミトコンドリアの配列が確認され