広場からスケボーの音が聞こえてきた。 普段はなかなか立ち寄れないが、今回の取材は、日々のニュースに追われている時には話す機会がないような場所で声を聴くことが狙いだ。彼らに声を掛けてみた。 イングランド北部の都市マンチェスター。日曜日だからだろうか、社会人が多かった。 滑り始めて5年というウィル(28)が地べたに寝転んだまま話し始めた。飲食店で「シェフのような仕事」をしているという。 近くの「なんでもない村」(nowhere village)から出てきた、と言うので、どんな村かと尋ねると、こう答えた。 「人口は200人。18歳になって最初に出会った女の子と結婚するような集落。バスは1日に数本だけ。買い物したければ朝のバスで隣町に出るしかない。たばこ、それにチョコとソーダを5ポンド(900円)ぐらいで買って戻れば、もう午後で、一日の半分が終わる。だから若者は外に出る。オレもそんな一人だよ」