春らしい暖かい陽気で気持ちよかった。梅も咲いててさ、日本いいなって思った。 こう、土着的っていうのかな、生活の全部が循環型でさ、スローライフとかいうまやかしなんかじゃなくてさ、自然と暮らすってのはこういうもんなんだなって思った。便利なことは悪いことじゃないし豊かなことはいいことだと思うんだけど、そういう生ぬるい生活を送っている僕たちがそこへ戻ろうとしても憧憬だけじゃやっていけない厳しさがあると思うんだ。そんでそこでしか感じられなくて見えない世界があって、果たして今、僕たちが進歩だと思ってることってのは本当に進歩なのかなとか思った。仰々しすぎるんだけどさ、たかだかボロ屋を見たぐらいで。 あそこにあるのは人の息遣いの消えてしまった廃墟みたいなものを小奇麗にした見世物だけど、なにかこう後ろめたい気持ちになるんだ。それはたぶん先祖とかが無意識のうちに護ってきたものを消費してるとか破壊してるとかそう
