まるで意思ある巨大生命体がぱっくりと口を開けているかのような度肝を抜く光景が広がっていたのは、マーシャル諸島共和国のビキニ環礁である。 ここは米軍における数々の核実験が行われた場所でもある。1946年7月、原子爆弾実験(クロスロード作戦)の為、大小71隻の艦艇が標的として沈められた。 ご存じのようにその中には日本の長門も含まれていたが、アメリカ海軍の航空母艦、サラトガもその1つであり、約70年間ずっと海底深くに沈んだままとなっている。 この核実験により、ビキニ環礁は人の住むことのできない場所となった。海の生態系も大いに破壊され、28種のサンゴが絶滅した。だが海の生き物たちは負けなかった。海に沈んだ軍艦が魚礁となり、今ではビキニ環礁面積の80%のサンゴ礁が回復しているという。 一度は絶滅しかけた生態系が再びよみがえったのだ。 そういった歴史を鑑みると、サラトガの魚礁がまるで亡霊のように見えて