2006年はマスコミや政治家が一斉に格差社会を問題にした年でした。皮切りは2005年12月末に毎日新聞で始まった連載記事「縦並び社会」で、「視点:格差社会考」と題する論説記事と併せてこの問題をリードしました。世間へのインパクトという点で大きかったのは、NHKが7月に放映した「ワーキングプア−働いても働いても豊かになれない」でしょう。政府側でも、「労働経済白書」が所得格差の問題を取り上げ、特に若者における非正規雇用の増大が将来的な格差拡大につながっていきかねないことに警鐘を鳴らしました。国外からも、OECDの対日審査報告書が所得不平等と貧困の問題に一節を割いています。構造改革路線に対する熱狂の季節が過ぎ、格差拡大に対する懸念が政治的課題としてクローズアップされてくる中で、安倍政権は「再チャレンジ支援」を掲げ、格差の固定化を防ぐ「成長力底上げ戦略」を進めました。 これに対し、野党の民主党もよう