(英エコノミスト誌 2009年11月14日号) 中央銀行と金相場 200トンの金は一辺が2メートル余りの立方体になる。小さなベッドルームに収まる程度の大きさだ。だが、インドが先月、それだけの金を国際通貨基金(IMF)から購入した時は、市場にとてつもなく大きな影響を及ぼし、金価格を1トロイオンス=1100ドルを大きく超える水準にまで押し上げた。 金の強気筋にとって、それが意味するところは明白だ。各国中央銀行はもはや他国政府の信用力を信じていない、ということだ。そして中央銀行が信頼しなくなったのだとしたら、民間の投資家も同じように信頼をおかなくなるはずである。 中国が追随すれば、1トロイオンス=1400ドルも視野 この論理の鎖の次の段階は、ほかの中央銀行が金の保有に殺到する(あるいは少なくとも小走りで駆け寄る)事態を想定することだ。カナダの資産運用会社グラスキン・シェフは、中国がインドに追随す
時は1979年。米国の作家ジョン・アップダイク氏のシリーズ小説の主人公、ハリー・アングストロームこと「ラビット」が妻に向かって、1万1000ドル以上も費やして30個のクルーガーランド金貨を買った理由を説明している。 「金の素晴らしさは、悪いニュースを愛するところなんだ」と彼は語る。 それから30年。絶望感が漂う中で、金は再び活況を呈している。クリスマス前には800ドル前後で買えた1トロイオンス(約31グラム、以下オンス)の金は、2月第3週には1オンス=1000ドル近い価格で取引されていた。 金価格が急騰した背景にあるのは、投資を目的とする金の需要急増だ。バークレイズ・キャピタルのスキ・クーパー氏によると、株主のために金を買って貯蔵する金ETF(上場投資信託)の新規買い付けは、1月の105トンから、2月は第3週までで208トンに上った。この分だと、2008年通年の新規買い付け322トン
(2008年12月10日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) エネルギーブローカーのロバート・ローリン氏は、クリスマスが近づく1998年暮れのロンドン国際石油取引所のピリピリした雰囲気を覚えている。「完全にカオス状態だった」とローリン氏。「世界は深刻な景気後退の真っ只中、誰も石油を買おうとしなかった」 日本と並び、アジアの多くの新興国も景気後退局面に入っており、ロシアはルーブルを切り下げ、国内債務をデフォルト(債務不履行)したばかりだった。 大陸の欧州諸国は目前に迫ったユーロ導入に沸いていたが、米国と英国はその他多くの国とともに成長が減速していた。国際通貨基金(IMF)は最新の世界経済見通しで、「今の危機」に対処するためにどんな手を打つべきか、あれこれ論じていた。 ブレント原油が史上最安値をつけてから丸10年 石油市場はその答えを知っていた。「売り」である。今からちょうど10年前の
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