おかしい、いままでと違う—。「最強の政権」にあぐらをかき、慢心し切っていた安倍総理を襲った支持率の急落。雌伏の時を過ごしていた党内の大物が動き始め、安倍退場への幕は開いた。 「総理を続ける意味がない」 どれほど大きな堤防であっても、蟻の巣穴のような小さなキッカケであっけなく崩れてしまう—中国の古典『韓非子』にはこのような言葉が載るが、現在の安倍晋三政権は、まさしくこの「堤」にほかならない。 これまで「最強」と呼ばれたはずの第二次安倍政権だが、 「いまの政権の状態は、第一次政権の末期とまったく同じになってきた」 とさえ、ささやかれ始めている。 最大の原因は、言うまでもなく、安全保障法制の整備を強硬に進めたことである。 7月15日、側近の不祥事などが渦巻く中、自民党が強行採決を行うと、政権の支持率は急落した。 毎日新聞が同17〜18日に行った世論調査では、不支持が51%と半数を超え、支持35%