『帽子男シリーズ』や『ギャグにもほどがある』など、作品ごとに惜しげなくアイデアを使い捨てるリサイクル精神ゼロのギャグ漫画家・上野顕太郎氏。実は「マンガの描き方本」を収集することをライフワークとし、現在、その数は200冊以上に及ぶという。 本連載は上野氏所有の貴重な資料本をベースに「マンガの描き方本」の変遷を俯瞰するシリーズである。マンガへの愛情たっぷりなチャチャと共に奥深いマンガの世界を味わいつくそう。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 連載 第五回 上野顕太郎の「マンガの描き方本」の歴史 何はともあれ(図1)をご覧頂きたい。紺碧の空に夥しい数の鳥が舞っている。獲物を探しているのか、それともこれからねぐらに帰るのか、どこからか打ち出だす鐘の音が、陰にこもって物凄く、ゴ~~~ン……というような絵ではまったく無く、これは昭和55年発行『さいとう・たかをの