かつては文学界のアウトサイダー、いまは芥川賞選考委員も務めるベテラン作家になった山田詠美は、このインタビューで「想像力」という言葉を何度も使った。 彼女の新作はちょっとした“事件”だった。山田が初めて新聞の連載小説を手がけ、しかも2010年に大阪で実際に起きた児童虐待死事件を題材に、罪を犯した母親を主人公にするという二重の挑戦があったからだ。 そして、完成した最新作『つみびと』(中央公論新社)は注目に応えた長編になった。キーワードは「らしからぬ」である。誰もが尻込みするような難しいテーマに、ベテラン「らしからぬ」リスクをとって挑んだ理由はなにか。 (取材・文:石戸諭/写真:西田香織) 小説とジャーナリズムの違い 「私の娘は、その頃、日本じゅうの人々から鬼と呼ばれていた。鬼母、と」 『つみびと』はこの一行から始まる。「娘・蓮音」は幼い子供2人―兄と妹―をマンションの一室に閉じ込め、自身はホス
![児童虐待が急増する中、山田詠美が「大阪2児放置死事件」に挑んだ理由(石戸 諭) @gendai_biz](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/cb0730ee40c0f19574642f2ba7148b946f62b6bb/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fgendai-m.ismcdn.jp%2Fmwimgs%2Fc%2F1%2F1200m%2Fimg_c135d4b769a964d6c183a2bd5b8d581b204851.jpg)