東京大空襲など戦争体験の記録として、東京都が300人以上の都民の証言を収録したビデオテープが四半世紀に渡り未公開のままになっている。本紙は非公開の証言者や遺族らを探し、貴重な証言を紹介している。昨年9月の連載以降にみつかった新たな証言者や空襲の記憶を継承しようと活動している人たちを4回にわたって紹介する。(井上靖史) 東京大空襲などの証言ビデオ 10万人が犠牲になった1945年3月10日の東京大空襲をはじめ、戦争被害の実態を後世に伝えようと東京都は1990年代後半、体験者330人の証言を1億円の公費を充ててビデオに収録した。当時、建設が計画された東京都平和祈念館(仮称)で公開される予定だったが、展示内容や歴史認識で都議会が紛糾。祈念館の計画は99年に凍結された。ビデオは9人分を除き、公開されないまま都内の倉庫に保管されている。証言した人が誰なのかも非公開となっている。