憎たらしくてたまらないのに、どうしても目が釘付けになってしまう。『半沢直樹』で一番強烈だったのは、敵役の大和田常務だった。香川照之の演技は、どうしてこんなにも人を惹きつけるのか。 彼だけが表現できること 「僕は演技上、机に突っ伏していたので、直接、大和田の土下座は見られなかったのですが、時間の長さとともに香川くんのうめき声がだんだん過激になっていく、その息遣いだけは伝わってきました。オンエアでこのシーンを見ましたが、あれは大和田が『ぜったいに半沢には負けていない』という意志が伝わる土下座でした。大和田は、その後頭取に助けられて初めて〝負ける〟んです。解雇ではなく降格を言い渡されたとき、初めて香川くんは死んだ目をした。そこを計算している。本当にすごい役者です」 こう話すのは、『半沢直樹』で大和田常務の側近、岸川取締役を好演した森田順平氏だ。40%超で平成のドラマ最高の視聴率を叩き出した最終話