いつの時代も、創造性の核には個人の「発想」があった。「発想」をかたちにするには技術のたすけが必要だが、情報通信技術の発展は、そのプロセスを大きく変えた。「発想」にはじめから、技術がビルトインされるようになったのだ。そうした発想のあり方を、かりに「数理的発想法」と名づけてみた。 連載第四回目に登場するのはロボット研究者の岡田美智男さん。ただし、彼がつくるのは最先端のヒューマノイド型と一味ちがう、「関係論的ロボット」と呼ばれるものだ。言い替えるなら「弱いロボット」。なぜロボットに弱さが必要なのか。その考え方の底にあるものをうかがった。今回のキーワードは〈環境〉と〈身体〉である――。 ロボットという言葉から、あなたは何を思い浮かべるだろうか。製造業から医療、災害対応など多くの分野で実用化されている産業用ロボットか、それとも人間のように二足歩行する「ヒューマノイド」型か。あるいはより人間そっくりな