「昨年の今ごろ、元教師だった祖母がコロナで亡くなりました。誰かがマスクを着けていなかったからです。それは、とても……」 テネシー州ラザフォード郡の教育委員会の会合で、高校2年生のグレイディ・ノックスがそこまで語ったところで周りの大人たちの野次や冷笑に遮られた。ノックスは学校でのマスク義務化を訴えるために、コロナで祖母を亡くした話を始めたのだが、すぐに冷酷な反応が飛んできたのだ。 スピーチをするノックスの斜め後ろに座っていた女性は、薄ら笑いを浮かべて頭を横に振った。別の聴衆からは「ノー」と言ってノックスの話を妨害したり、「黙れ」という叫び声も聞かれた。