と、いきなりですが、まえがきから。 いま、あなたが手にしているこの本は2種類の読者を想定している。数学について知識が少しある読者とまったくない読者だ! これは実際の事件に基づいたフィクションで、登場するヒーローたちは数学の歴史に足跡を残した実在の人物たちだ。舞台は1900年、パリ。容疑者が史上最高の数学者たちという、殺人事件ミステリーだ。容疑者たちの警察への供述がそれぞれ数学の問題とつながっていく。 1番目の種類の読者は問題を解いて、容疑者に正当なアリバイがあるかどうか見極めることに挑戦できる(中学程度の数学知識で充分)。もう一方の種類の読者はこの作業を飛ばしても大丈夫。いずれにせよ、すべての読者が物語の筋についていくことができるだろう。 で、バリバリ文系の私も安心して読み始めた、というわけですが、「ミステリー」というのは、面白いストーリーだという喩えの惹句で、フィクションとはいえ殺人事件