GDPが上昇に転じて、麻生首相は「景気が底を打ったのは自民党のおかげだ」と自慢しているが、日銀は慎重に見ているようだ。水野温氏審議委員によれば、日本の潜在成長率が、われわれが思っていたより下がっているかもしれないという話をした。マイナスのギャップが存在して、それが縮まるペースが鈍いということを考えれば、当然、2010年度から11年度にかけて、マイナス幅の縮小が緩慢であるということはいえると思う。「マイナスの需給ギャップ」というのは奇異に聞こえるだろうが、理論的にはありうる。以前、アゴラに書いた記事の図をコピーすると、次のように潜在成長率が大きく下方屈折してY"になり、実際の成長率がYのようになっているとすると、自然水準(潜在GDP)に到達するためには、今より成長率が下がる必要があるのだ。 政府の「景気対策」は、潜在成長率Y'が変わらず、GDPギャップΔYがプラスだということを前提にしてい