日本酒には「純米」「純米吟醸」「大吟醸」といった種類、「特定名称」があるが、実はラベルに記載する義務はないという。特定名称をラベルに書かなければ、精米歩合の記載も必要ないのだが、この問題について、業界関係者の間では意見が分かれる。 日本酒プロデューサーの中野繁さんは、消費者には「知る権利」があると主張する一人。いわば“データ派”だ。 「やはり精米歩合の表示は、酒蔵に義務づけるべきでしょう。日本酒は、スペック(仕様)でその正体がある程度わかる。つまり米の品種や精米歩合、日本酒度、粕歩合などで、だいたいの原価を知ることができます。それをもとに消費者は価格が妥当かどうかを判断することができる。客観的データを公開すべきでしょう」 酒造技術の研究と技術指導に50年以上携わる堀江修二さんも、業界の将来を見据え、情報公開を促す。 「精米歩合を、科学的に分析して証明することは不可能に近い。だからこ