【気になるアノ人を追跡調査!野球探偵の備忘録(41)】1981年夏の甲子園。報徳学園(兵庫)と京都商(京都)の決勝戦は、在日韓国人の人々にとって忘れられない一戦として語り継がれている。京都商の左翼手が在日韓国人として史上初めて本名で選手登録。同胞たちに勇気と希望を与えたこの選手は、現在、パチンコ業界最大手「マルハン」の代表取締役社長として辣腕を振るっている。大企業のトップに上り詰めた韓裕氏(53)が激動の人生を語った。 「自分では、そんなに特別なことだとは思ってなかったんです。ただ、反響はすさまじいものがあった。『勇気をもらった』『自分の子も本名で出場させたい』という手紙が、段ボール箱いっぱいに届きましたからね。甲子園で注目されて初めて、自分は韓国人なんだという意識が高まりました」 甲子園出場を決めたその夏、突然勝山監督から呼び出された。「本名のままでいいのか?」。それまでも甲子園に在