人工透析料と健康保険 この30年ぐらい、ずっと私の頭の中で、いつも居坐っていて、一向に解決できない問題がある。それは「人工透析」である。人工透析の技術が日本に導入されたのは、昭和30年代の中ごろだと記憶している。当時は腎臓移植は”夢のまた夢”の時代で、腎臓病患者にとっては大きな福音となった。 しかし、透析料がとてつもなく高い。当時は一回の透析が4万円以上もした。これを週三回も繰り返すのだから患者にとっては大変な負担だった。当然のことながら「金の切れ目が命の切れ目」ということになっていて、片方、病院のほうからいえば”ドル箱”だった。これが社会問題になりはじめたのは、1980年前後だった。当時、私は「社会保険審議会委員」をしていた。この「金の切れ目が命の切れ目」というのは何とかしなくてはいけないと考えて、いろいろ画策の末「高額療養費制度」を導入して、透析患者も安心して健康保険で受けられるように